空き家の固定資産税|いつ・いくら上がるかと、誰が払うか

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更新日:執筆:実家ノート編集部出典と作り方

30秒でわかる結論
  • 空き家になっただけでは、固定資産税は上がりません。
  • 上がるのは、①解体した、②管理不全空家・特定空家として勧告を受けた、③傷みがひどく人が住める家と認められない、のどれかの状態で1月1日を迎えたときです。
  • 上がるのは土地の税金で、最大で約4.2倍です(6倍ではありません)。解体した場合は、家屋の税金はかからなくなります。
  • 相続登記の前でも、相続人が払います。相続人全員が連帯して納める義務を負います。

この先5年の税金を計算する

この記事の目次
  1. 空き家の固定資産税のしくみ
  2. この先5年の税金を計算する
  3. 空き家の税金が上がる3つのケース
  4. 「6倍」にはならない理由
  5. 相続した空き家の固定資産税は誰が払う?
  6. 払わないとどうなる?
  7. 税金を軽くする・なくす方法
  8. よくある質問

空き家の固定資産税のしくみ

空き家の固定資産税のしくみ
いつの状態で決まる毎年1月1日(その日の持ち主に、その年度の1年分がかかる)
誰が払う持ち主(登記の名義人)。亡くなった人の名義のままなら相続人
税率固定資産税1.4%(標準)。都市計画税は最大0.3%(市街化区域など)
納める時期年4回が多い(4・7・12・2月など。東京23区は6・9・12・2月)
かからない場合同じ市区町村の課税標準額の合計が、土地30万円未満・家屋20万円未満(家屋は2027年度から30万円未満)

税額は「課税標準額×税率」で計算します。課税標準額は、毎年届く納税通知書についている課税明細書に、土地と家屋のそれぞれについて書かれています。

家が建っている土地には「住宅用地の特例」があり、課税標準額が小さくなっています。200㎡までの部分は評価額の6分の1(都市計画税は3分の1)、200㎡を超える部分は3分の1(都市計画税は3分の2)です。特例の対象になるのは、家の床面積の10倍までの土地です。空き家の税金が「上がる」「上がらない」は、この特例が使えるかどうかの話です。

この先5年の空き家の税金を計算する

課税明細書の数字と、これからの予定を入れると、年度ごとの固定資産税・都市計画税の目安を出します。入力した内容はこの端末から送信されません。

課税明細書の土地の「価格」または「評価額」
万円
㎡
課税明細書の家屋の「価格」または「評価額」。分からなければ空欄で大丈夫です(家屋の税金を0円として計算します)
万円
都市計画税はかかっていますか? 課税明細書に「都市計画税」の欄があれば「かかっている」。分からなければ「かかっている」で計算します
これからの予定

空き家の税金が上がる3つのケース

空き家になったこと自体では、税金は変わりません。上がるのは、土地の「住宅用地の特例」が使えなくなったときで、次の3つのケースがあります。

空き家になっただけでは固定資産税は上がらない。上がるのは、解体して更地にした、管理不全空家・特定空家として勧告を受けた、傷みがひどく住宅と認められない、のどれかの状態で1月1日を迎えたときで、その年度から土地の固定資産税が最大で約4.2倍になる(6倍ではない)
図:空き家の固定資産税が上がる3つのケース

① 家を解体して更地にした

1月1日に家がない土地は、特例の対象になりません。12月に解体すると翌年度から、1月2日以降に解体するとさらに翌年度から上がります。解体の費用と時期の決め方は空き家の解体費用の計算で解説しています。

② 管理不全空家・特定空家として勧告を受けた

管理が不十分な空き家は、市区町村から指導を受け、改善しないと勧告を受けます。勧告を受け、1月1日の時点で勧告が取り消されていないと、家が建っていても特例が外れます。2023年12月13日に施行された改正空家法で、倒壊のおそれがある「特定空家」だけでなく、そうなるおそれがある「管理不全空家」も対象になりました。国土交通省のまとめでは、2025年3月末までに管理不全空家への勧告は378件、特定空家への勧告は累計4,153件あります。

必要な修繕や片付けをして勧告が取り消されれば、要件を満たす限り、特例はまた使えます。特定空家に出された命令に違反すると、50万円以下の過料の対象です。市区町村の対応の流れは空き家を放置したときのリスクにまとめています。

③ 勧告がなくても「住宅」と認められない

見落としやすいのがこのケースです。総務省の通知(2015年)では、次のような家は、勧告を待たずに特例の対象となる「住宅」に当たらないとしています。

  • 構造上、住宅と認められない状況にある(屋根が落ちている、壁が崩れているなど)
  • 使う見込みがなく、取り壊す予定になっている
  • 住むために必要な管理を怠っていて、今後人が住む見込みがないと認められる

「勧告さえ受けなければ大丈夫」とは限りません。定期的に風を通す、雨漏りを直すなど、人が住める状態を保っておくことが、税金を上げないことにもつながります。

「6倍」にはならない理由

「更地にすると固定資産税が6倍」とよく言われますが、実際はそこまで上がりません。

  • 家が建っている200㎡以下の土地の課税標準額は、評価額の6分の1(約16.7%)です。
  • 家がない土地(住宅用地以外)の課税標準額は、評価額の70%までに抑える決まりがあります。
  • そのため、上がり方は最大で 70%÷6分の1=約4.2倍です。

解体した翌年度から、課税標準額はおおむね評価額の60〜70%になります(地域の負担水準によっては60%台にとどまり、4.2倍より少し小さくなります)。また、200㎡を超える部分は、もともと3分の1までしか軽くなっていないので、広い土地ほど上がり方は小さくなります。

実際にいくら増える?全国の住宅地17,890地点で計算してみた

倍率だけでは、実際の負担は分かりません。実家ノートで、2026年の地価公示の住宅地すべて(17,890地点)について、その地点に150㎡の土地があったら、更地にしたときに土地の固定資産税(標準税率1.4%)が年いくら増えるかを計算しました(固定資産税評価額は地価公示の7割、更地の課税標準は評価額の70%として計算)。

  • 真ん中の地点で年約5.8万円増える
  • 4分の1の地点は年約2.6万円以下、反対に4分の1の地点は年約13万円以上増える
  • 年10万円以上増える地点は全体の約3分の1

同じ「約4.2倍」でも、地価の安い町では年1万円台、都市部では年数十万円と、金額は大きく違います。自分の土地の数字は、上の計算ツールに課税明細書の評価額を入れると出せます。都市計画税がかかる地域では、さらに増えます。

都市計画税は、200㎡以下の部分が3分の1になっているので、更地になると最大で約2.1倍です。

相続した空き家の固定資産税は誰が払う?

  • 相続登記をした後:登記の名義人(家を相続した人)が払います。
  • 相続登記の前:亡くなった人の名義のままでも、相続人が払います。市区町村は、相続人の中から書類を受け取る代表者を決める「相続人代表者指定届」の提出を求めることがあります。
  • 相続人全員の連帯:亡くなった人の名義のままの家にかかる、亡くなった翌年度以降の税金は、相続人全員が連帯して納める義務を負います。代表者が払わないと、ほかの相続人に請求されることがあります。亡くなった年度の分(1月1日時点で本人にかかっていた分)は、相続人が法定相続分に応じて引き継ぎます。
  • 現所有者の申告:亡くなった人の名義のまま1月1日を迎えた場合、多くの市区町村は、相続人(現に所有している人)に申告を求めています。申告の期限や方法は市区町村の条例で決まっていて、正当な理由なく申告しないと過料を定めているところもあります。

遺産分割の前に払った税金を誰がどれだけ負担するかは、相続人どうしの話し合いで決めます。家を誰が相続するかを決めて、早めに相続登記をしておくと、納税通知書の送り先もはっきりします。

相続放棄をした場合でも、放棄した時にその家を現に占有していた人(住んでいた、鍵を持って使っていたなど)は、ほかの相続人か相続財産清算人に引き渡すまで、自分の財産と同じ注意で家を保存する義務を負います(民法940条、2023年4月施行)。

払わないとどうなる?

納期限までに納めないと、延滞金がかかります。2026年(令和8年)の割合は、納期限の翌日から1か月以内が年2.8%、1か月を過ぎると年9.1%です(毎年見直されます)。督促状が届いても納めないと、最終的には預金や不動産などの財産を差し押さえられることがあります。払うのが難しいときは、放っておかずに市区町村の納税の窓口に相談してください。分割での納付などを相談できることがあります。

税金を軽くする・なくす方法

  1. 勧告を受けないように管理する:草刈り、雨漏りや壊れた窓の修理、郵便物の整理など。遠方なら管理サービスに頼む方法もあります。
  2. 解体の時期を1月1日に合わせて決める:売る予定があるなら、1月1日をまたがずに売れるよう、解体と売り出しの時期を合わせます。解体費用と、解体後の税金の計算
  3. 解体後の減免がないか確かめる:市区町村によっては、空き家を解体した後の土地の税金を、一定期間軽くしています(下の表)。解体の前の相談や申請が条件のこともあります。
  4. 売る・手放す:持ち続ける限り、税金は毎年かかります。売るなら、亡くなった人が一人で住んでいた古い家は空き家の3,000万円控除を使える場合があります。建物を解体した土地なら、審査手数料と負担金(原則20万円)を払って国に引き取ってもらう制度を使える場合もあります。
空き家を解体した後の土地の固定資産税を軽くする自治体の例
自治体主な条件期間
岩手県宮古市2年以上使っていない住宅を解体(毎年1月中に申請)最長2年度
新潟県三条市特定空家の敷地で、市が減免の対象と認めてから1年以内に解体(解体前の相談が必要)最長2年度
神奈川県愛川町町の補助を使って危険な空き家を解体3年間
千葉県八千代市旧耐震の空き家を、決められた期間に解体(現在の掲載は2025年中の解体分)2年度分
東京都(不燃化特区)特区の中の老朽住宅を解体最長5年度(税額の8割を減免)

2026年10月時点で各自治体の公式ページで確認した概要です。対象や受付期間は年度ごとに変わるので、必ず最新の内容を確認してください。

よくある質問

空き家になると、固定資産税はいつから上がりますか?

空き家になっただけでは上がりません。上がるのは、①家を取り壊した、②管理不全空家・特定空家として市区町村から勧告を受けた、③傷みがひどく「人が住める家」と認められなくなった、のどれかに当たり、その状態で1月1日を迎えた場合です。上がるのはその1月1日の年度の税金からで、納税通知書は春〜初夏に届きます。

相続登記をしていない空き家の固定資産税は、誰に届きますか?

登記の名義が亡くなった人のままなら、相続人の誰かに届きます。市区町村は、相続人の中から書類を受け取る代表者を決める「相続人代表者指定届」の提出を求めることがあります。代表者が払うことになっていても、相続人全員が連帯して納める義務を負います。

空き家の固定資産税は、いくらくらいですか?

課税明細書の評価額で決まるので、家によって大きく違います。家が建っている200㎡以下の土地なら、土地の固定資産税は「評価額×6分の1×1.4%」が目安です(負担調整などで実際はこれより低いこともあります)。評価額1,000万円の土地なら年約2.3万円です。上の計算ツールに課税明細書の数字を入れると、この先5年分の目安が出ます。

古い家でも、家屋の固定資産税はかかりますか?

かかります。家屋の評価額は古くなるほど下がりますが、評価の基準では新築時の2割までしか下がらないため、ゼロにはなりません。ただし、同じ市区町村にある家屋の課税標準額の合計が20万円未満なら、家屋の固定資産税はかかりません(免税点)。2027年度(令和9年度)からは、この金額が30万円未満に引き上げられます。

解体した後の土地の税金を軽くしてもらえる制度はありますか?

国の制度としてはありませんが、市区町村が独自に、空き家を解体した後の土地の税金を一定期間軽くしている例があります。対象や期間、申請の時期は市区町村ごとに違い、解体の前の相談が条件のこともあるので、解体する前に家のある市区町村の資産税の窓口に確認してください。

次にやること

出典と、この記事の作り方

実家ノート編集部が、下の公的資料を読んで作成しました。法令の内容は 2026年10月4日 に確認しています。制度は改正されることがあるため、申告や手続きの前に、必ず出典元と税務署・専門家にご確認ください。