空き家(実家)の解体費用|いくらかかるかを計算して、損しない時期を決める
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- 木造の家の解体は、建物本体だけで1坪あたり3万〜6万円が目安です。30坪なら約90万〜180万円です。
- 鉄骨造は1坪3.5万〜7万円、鉄筋コンクリート造(RC造)は1坪5万〜10万円が目安です。ブロック塀・庭木・家財の処分・アスベストの除去は別にかかります。
- 市区町村の補助金があることがあります。ほとんどの制度は工事の契約前の申請が条件です。
- 1月1日に家がない土地は、その年度から土地の固定資産税が上がります(最大約4.2倍)。解体の日は、売る時期と合わせて決めます。
この記事の目次
解体費用の目安(構造・広さ別)
建物本体を解体する費用は、おおむね「1坪あたりの単価×延床面積」で決まります。民間の解体見積もりサービスなどが公表している構造別の坪単価をもとに、このサイトでは次の幅を目安にしています(建物本体のみ。付帯工事・家財の処分・アスベストの除去は含みません)。
| 延床面積 | 木造(1坪3万〜6万円) | 鉄骨造(1坪3.5万〜7万円) | RC造(1坪5万〜10万円) |
|---|---|---|---|
| 20坪(約66㎡) | 60万〜120万円 | 70万〜140万円 | 100万〜200万円 |
| 30坪(約99㎡) | 90万〜180万円 | 105万〜210万円 | 150万〜300万円 |
| 40坪(約132㎡) | 120万〜240万円 | 140万〜280万円 | 200万〜400万円 |
| 50坪(約165㎡) | 150万〜300万円 | 175万〜350万円 | 250万〜500万円 |

坪単価の幅は、クラッソーネ(木造3.1万〜4.4万円)、解体無料見積ガイド(木造の平均約3.4万円、RC造の平均約7.7万円)などの公表値をもとに、都市部や道の狭い家も含められるよう上限を広めにとっています。東京都の木造は平均で1坪6万円台という集計もあります。公的な相場データはないため、実際の金額は必ず見積もりで確かめてください。
延床面積は、固定資産税の課税明細書の「床面積」や、登記事項証明書で分かります。1坪は約3.3㎡です。
自分の家の解体費用を計算する
構造と延床面積を入れると、建物本体の解体費用の目安を出します。付帯工事・滅失登記・補助金と、解体した後の固定資産税の増え方も足せます。入力した内容はこの端末から送信されません。
付帯工事・登記・補助金(分かる分だけ)
解体した後の固定資産税も計算する(課税明細書が手元にあれば)
費用の内訳と、高くなる条件
見積書は、だいたい次の項目に分かれます。業者によって項目のまとめ方が違うので、2社以上の見積もりを並べるときは、同じ項目どうしで比べます。
- 仮設工事:足場、ほこりや音を防ぐ養生シート、重機の運搬など。
- 解体工事(建物本体):上の坪単価で目安を出している部分です。
- 廃棄物の運搬・処分:木くず、コンクリート、瓦などを分別して処分します。費用の大きな割合を占めることが多い項目です。
- 付帯工事:ブロック塀、庭木・庭石、物置、カーポート、井戸、浄化槽など、建物以外の撤去。
- 整地:取り壊した後の土地をならします。
- アスベストの調査・除去:解体の前に、有資格者による事前調査が必要です。含まれていれば除去費用がかかります。
- 家財(残置物)の処分:家の中に残った家具や荷物は「一般廃棄物」で、持ち主が処分します。市区町村の一般廃棄物の許可を持たない解体業者には、処分を頼めません。見積もりに含まれている場合は、許可を持つ業者に任せるのかを確認します。
次の条件があると、坪単価は高くなりやすくなります。
- 家の前の道が狭く、重機やトラックが入れない(手作業が増え、運搬の回数も増える)
- 隣の家との間がせまい、旗竿地(道路から細い通路の奥にある土地)
- 鉄骨造・RC造(壊すのに手間がかかり、出る廃材も重い)
- アスベストを含む建材が使われている(古い家に多い)
- 地下室や、地中に古い基礎・浄化槽などが埋まっている(工事の途中で見つかると追加費用になりやすい)
地中から出てきた物の処分費は、見積もりに含まれていないことが多い項目です。契約の前に、見つかった場合の扱いと単価を確認しておきましょう。
解体の補助金(国の仕組みと市の例)
古い空き家の解体には、市区町村が補助を出していることがあります。国も「空き家対策総合支援事業」などで市区町村の補助を支援していて、所有者が解体する場合、制度上は国が5分の2、市区町村が5分の2、所有者が5分の1を負担する仕組みです。
ただし、補助の対象になる費用には上限があります。国が示す令和8年度の標準除却費では、補助の対象になる解体工事費は延床面積1㎡あたり木造3万6,000円、木造以外5万1,000円までです(1坪に直すと木造約11.9万円)。これは補助の計算に使う上限で、解体費用の相場ではありません。実際の補助額は、市区町村がそれぞれ決めた補助率・上限額で決まり、多くは数十万円までです。
| 市・制度 | 補助の額 | 主な条件 |
|---|---|---|
| 札幌市 木造住宅の除却 | 工事費の23%以内(上限30万円) | 1981年5月31日以前に建てられ、耐震診断の評点が1.0未満(2026年度の受付は9月25日で終了) |
| 横浜市 住宅除却 | 旧耐震(1981年5月以前)の木造住宅は上限50万円、1981年6月〜2000年5月の着工は上限20万円 | 木造住宅で、耐震性が低い |
| 名古屋市 戸建木造住宅の除却 | 工事費の3分の1(上限20万円) | 1981年5月31日以前に着工、耐震診断の評点が1.0未満 |
| 神戸市 老朽空家等の解体 | 床面積に応じた定額(上限60万円) | 1986年12月31日以前に建てられ、腐朽・破損がある空き家(予算に達し次第終了) |
2026年10月時点の各市の公式ページで確認した概要です。対象・金額・受付期間は年度ごとに変わります。必ず最新の内容を市に確認してください。
ここに挙げた制度に共通するのは、工事の契約・着工の前に申請し、交付決定を受けることです。契約してからでは、補助を受けられません。受付期間が決まっていたり、予算がなくなった時点で締め切ったりする制度も多いので、解体を考え始めた段階で、家のある市区町村の空き家・建築の担当に問い合わせましょう。
解体する時期と固定資産税
固定資産税は、毎年1月1日の状態で、その年度の税額が決まります。家が建っている土地は「住宅用地の特例」で税金が軽くなっていますが、1月1日に家がないと、その年度はこの特例が使えません。
- 12月に解体:翌年1月1日に家がないので、翌年度から土地の税金が上がります。
- 1月2日以降に解体:その年の1月1日には家があったので、上がるのはさらに翌年度からです。
土地の固定資産税は、更地になると最大で約4.2倍になります(6倍ではありません)。一方で、家屋の固定資産税は、解体した後に来る1月1日の年度からかからなくなるので、実際に増える額はその差です(解体した年度の家屋の税金は1年分かかります)。滅失登記(登記されていない家は市区町村への届出)をしないと、家屋への課税が続くことがあります。上のツールで、課税明細書の数字から計算できます。年度ごとの税額や、相続人が払うときの注意は空き家の固定資産税の解説と5年分の計算で確認できます。
解体してすぐ売るなら、1月1日より前に引き渡しと名義変更の登記まで済めば、上がった税金を払う年は来ません。売るまでに時間がかかりそうなら、解体の時期を売り出しに合わせて遅らせることも考えます。なお、自治体によっては、空き家を解体した後の土地について、一定期間、税金を軽くする独自の制度があります。解体の前に、市区町村の資産税の窓口で確認しておきましょう。
解体の前後で必要な手続き
- 補助金の申請(契約の前):補助を使う場合は、業者と契約する前に申請します。
- アスベストの事前調査:解体の前に、資格を持つ人による事前調査が必要です(2023年10月から)。床面積80㎡以上の解体では、調査の結果を業者が都道府県などと労働基準監督署に報告します(2022年4月から)。
- 建設リサイクル法の届出(着工の7日前まで):床面積80㎡以上の解体では、発注者(家の持ち主)が都道府県知事などに届け出ます。業者が代わりに手続きすることが多いですが、届出の義務は発注者にあります。
- 電気・ガス・水道の停止:工事の前に止めます。水道は工事で使うことがあるので、業者に確認してから。
- 建物の滅失登記(解体から1か月以内):登記されている家は、取り壊した日から1か月以内に法務局に申請します(不動産登記法57条)。怠ると10万円以下の過料の対象です。自分で申請することもでき、土地家屋調査士に頼む場合の報酬は全国平均で約4.8万円(税抜)です(日本土地家屋調査士会連合会の2022年度の調査)。登記されていない家は、市区町村の資産税の窓口に届け出ます。
解体業者は、建設業の許可か、都道府県の解体工事業の登録を受けている必要があります。見積もりの段階で、許可・登録の番号を確認しましょう。片付けや解体を含む実家じまい全体の流れは実家じまいの進め方と段取り表にまとめています。
解体費用を抑える5つの方法
- 2〜3社の見積もりを比べる:同じ家でも、業者によって数十万円の差が出ることがあります。項目ごとに比べ、「一式」とだけ書かれた見積もりは内訳を出してもらいます。
- 家財は先に片付ける:家の中の荷物は、解体の前に片付けておきます。使える物は買取や寄付に回し、残りは自治体の粗大ごみや、市区町村の一般廃棄物の許可を持つ(または市区町村から委託された)片付け業者に頼むと、費用を抑えやすくなります。実家の片付け業者の選び方と見積もりの比べ方
- 補助金を使う:対象になるなら、契約の前に申請します。
- 解体せずに家付きで売る:古い家付きのまま売れば、解体費用はかかりません。家付きで売れるか、更地にしたほうが高く売れるかは、不動産会社に両方の価格を聞いて比べます。空き家の買取と、買取額がいくら以上なら得かの計算
- 買主に解体してもらう:空き家の3,000万円控除は、2024年以降の売却なら、売った年の翌年2月15日までに買主が取り壊した場合も使えます。家付きで売り、解体を買主に任せる方法もあります。
空き家の3,000万円控除と解体
亡くなる直前にほかに住んでいる人がいなかった1981年5月31日以前の家(要介護認定を受けて老人ホームなどに入っていた場合も条件つきで対象。マンションなど区分所有の建物は対象外)なら、売った利益から最大3,000万円(家と土地を相続した人が3人以上なら1人2,000万円)を差し引けます。取り壊してから土地を売る場合は、相続してから売るまで事業・貸付・居住に使っていないこと、取り壊した後に建物や構築物(駐車場の設備など)の敷地として使っていないことが条件です。親子・夫婦など特別な関係の人に売る場合は対象外です。期限は相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで(現行法では2027年12月31日までの売却が対象)で、売却代金は1億円以下である必要があります。使えるかどうかは空き家の3,000万円控除 判定ツールで確かめられます。
相続した家の解体費用は誰が払う?
解体の費用は、その家を相続した人が払います。兄弟など複数の人で相続した場合は、誰がいくら負担するかを話し合って決めます。遺産分割の前に解体すると負担でもめやすいので、誰が家を相続するか、解体費用をどう分けるかを先に決めておくのがおすすめです。家を売ってお金で分ける場合は、解体費用を売ったお金から差し引いてから分ける方法もあります。換価分割で売って分ける方法
- 相続放棄を考えているなら解体しない:家を取り壊すと、相続を認めたとみなされ、相続放棄ができなくなるおそれがあります(民法921条)。
- 相続税からは差し引けない:相続税で差し引ける債務は、亡くなった時点で確実にあったものに限られます。相続した後に頼んだ解体の費用は、原則として差し引けません(亡くなる前に本人が契約していた未払いの解体代金は、債務として差し引ける場合があります)。
- 売ったときの税金からは差し引ける:土地を売るために家を取り壊した費用は、売った利益から差し引ける「譲渡費用」になります。領収書と契約書は保管しておきましょう。譲渡所得税の計算
よくある質問
30坪の木造の家を解体すると、いくらかかりますか?
建物本体の解体だけで、およそ90万〜180万円が目安です(1坪あたり3万〜6万円で計算)。重機が入る広い道に面した家なら安め、道が狭く手作業が多い家や都市部の家は高めになります。ここに、ブロック塀・庭木・物置などの撤去、家財の処分、アスベストの除去がある場合はその費用が加わります。上の計算ツールで、付帯工事も含めた目安を出せます。
解体の補助金は、工事が終わった後でも申請できますか?
ほとんどの市区町村では、できません。このページで調べた札幌市・横浜市・名古屋市・神戸市の制度は、どれも工事の契約や着工の前に申請し、交付決定を受けることが条件でした。受付期間や予算に限りがある制度も多いので、解体を考え始めたら、業者と契約する前に市区町村の空き家・建築の担当に問い合わせてください。
家を解体すると、固定資産税は6倍になりますか?
6倍にはなりません。家が建っている土地は200㎡までの部分の課税標準が6分の1になっていますが、家がない土地は課税標準が評価額の70%までに抑えられるため、土地の固定資産税は最大で約4.2倍です。一方で、解体した翌年度からは家屋の固定資産税がかからなくなります。実際にいくら増えるかは、上のツールに課税明細書の数字を入れると計算できます。
解体費用は、相続税や売ったときの税金から差し引けますか?
相続税からは、原則として差し引けません。相続税で差し引ける債務は、亡くなった時点で確実にあったものに限られるためです。一方、土地を売るために家を取り壊した場合の取り壊し費用は、土地を売ったときの「譲渡費用」として、売った利益から差し引けます。
相続放棄を考えている場合、先に家を解体してもいいですか?
解体しないでください。相続財産を処分すると、相続を認めたとみなされ、相続放棄ができなくなるおそれがあります(民法921条)。倒壊の危険があるなどで急ぐ場合は、家庭裁判所や弁護士に相談してから判断してください。
次にやること
出典と、この記事の作り方
実家ノート編集部が、下の公的資料を読んで作成しました。法令の内容は 2026年10月4日 に確認しています。制度は改正されることがあるため、申告や手続きの前に、必ず出典元と税務署・専門家にご確認ください。
- 国土交通省 令和8年度における住宅局所管事業に係る標準建設費等(第9 不良住宅等除却費)
- 国土交通省 空き家再生等推進事業(除却事業タイプ)
- 国土交通省 空き家対策総合支援事業(補助の負担割合)
- 国土交通省 空き家対策特設サイト(解体の補助)
- 札幌市 危険空家等除却補助制度
- 札幌市 木造住宅の除却工事の費用補助
- 横浜市 住宅除却補助制度
- 名古屋市 戸建木造住宅の除却助成
- 神戸市 老朽空家等解体補助
- クラッソーネ 解体費用の相場(構造別の坪単価・東京都の平均)
- 解体無料見積ガイド(あんしん解体業者認定協会)構造別の坪単価
- 解体の窓口 庭木の撤去費用
- 総務省 固定資産税の概要(賦課期日・住宅用地の特例)
- 環境省 建設リサイクル法の概要
- 環境省 大気汚染防止法の改正(石綿の事前調査結果の報告)
- 厚生労働省 石綿総合情報ポータル(事前調査は有資格者が行う)
- e-Gov法令検索 不動産登記法(57条・164条)
- 日本土地家屋調査士会連合会 報酬に関する実態調査(令和4年度)
- 国税庁 No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
- 国税庁 譲渡費用となるもの(取壊し費用)
- 国税庁 No.4126 相続財産から控除できる債務
- e-Gov法令検索 民法(921条)